Masasakiblog

アートを愛し、アートに生きよう。。。

No,58 裸婦画をひたすら攻撃的かつポップに書き続けたトム・ウェッセルマン

裸婦画をひたすら攻撃的かつポップに書き続けたトム・ウェッセルマン

 

トム・ウェッセルマン

f:id:Masanosuke_Sasaki:20190705223440p:plain

トム・ウェッセルマン

 

という人をご存じだろうか?

知っている方は相当コテンポラリーアートが好きな人だ。

というのも、本国アメリカでは超有名人だが、

日本ではそれほど名前が知れたアーティストではないからだ。

 

何故日本で人気があまりないのか…。

これは私個人の想像だが、

アンディー・ウォーホルの存在がその理由なのではないのかと思っている。

 

アンディー・ウォーホル = ポップアート・コテンポラリーアート

ポップアート・コテンポラリーアート = アンディー・ウォーホル

 

という絶対的な方程式が日本では横行しており、

どうしてもその他のポップアート・コテンポラリーアート作家が影を潜めてしまう。

もう一つの要因として、トム・ウェッセルマンの描く作品は過激すぎる。

特に保守的であった1960年代のわが国で、あれほどまでに攻撃的な裸婦画は、

なかなか受け入れられなかったのではないだろうか?

と、私は想像するのである。

 

でも、このブログを見て、トム・ウェッセルマンに興味を持った人は、

トム・ウェッセルマンの裸婦画以外にも目を向けてほしいと思う。

そのどれもが素敵で、見ていて飽きないからだ。 

 

 

基本情報

「トム・ウェッセルマン」

本名

  • トム・ウェッセルマン

生誕

  • 1931年2月23日

死没

  • 2004年12月17日(73歳没)
国籍
  • アメリが合衆国
代表作品
  • 「グレイト・アメリカン・ヌード」シリーズ
  • 「静物」シリーズ
  • 「ベットルーム・ペインティング」シリーズ
  • 「海景」シリーズ
  • 「スモーカー」シリーズ  …etc.

 

作風

 

Tom Wesselmann: His Voice and Vision

Tom Wesselmann: His Voice and Vision

 

 

ズバリ、エロい

トム・ウェッセルマンは多くの裸婦画を描いている。

特に1960年代に描いた「グレイト・アメリカン・ヌード」シリーズは、

ヘアはもちろん、時には女性器も露骨に描いている。

しかし、単にエロいだけではなく、やたらにポップな色使いをしており、

そこまで深いエロではない。

それどころか、お洒落だとすらいえる。

そう、トム・ウェッセルマンの描く絵は

 

お洒落エロ

 

なのだ。

 

トム・ウェッセルマンはコラージュやアッセンブラージュといった、

様々な画材を使い、アートを完成させる。

だが、その根底にあるのは、やはりペインティングであり、

油彩を使用した作品なんかは、

 

「CGかよ!」

 

なんて思ってしまうほどの完成度の高さである。

この確固たる技術がトム・ウェッセルマンの魅力を底支えしていることは間違いないだろう。 

  

トム・ウェッセルマンが画家になるまで

 

Tom Wesselmann

Tom Wesselmann

  • 作者: Stephane Aquin,Isabelle Dervaux,Constance W. Glenn,Marco Livingstone,Monica Serra
  • 出版社/メーカー: Prestel
  • 発売日: 2012/05/25
  • メディア: ハードカバー
  • この商品を含むブログを見る
 

 

ジョアン・ミロ(詳しくはNo,55 本日の主人公は「ミロ」といってもヴィーナスじゃないよ。参照)と違い、トム・ウェッセルマンは幼い頃、画家になるなんて欠片も思っていなかったそうだ。

しかし、朝鮮戦争が勃発し、トム・ウェッセルマンは徴兵されてしまう。

青春のすべてを奪われたトム・ウェッセルマンは軍隊生活を風刺漫画に変えることで、

軍隊生活のうっ憤を晴らすようになる。

ここで培ったユーモアが後々のアーティスト生活に影響を与えたそうだ。

 

その後、トム・ウェッセルマンは朝鮮へ行くことなく、

戦争を写真で記録する部隊に配属される。

幸運にも、ここで訓練するのは写真術であった。

運を味方につけたトム・ウェッセルマンは、

ここからどんどんアーティストへの階段を上るのである。

   

 

トム・ウェッセルマンと抽象表現

 

ウェッセルマン (現代美術 第17巻)

ウェッセルマン (現代美術 第17巻)

 

 

トム・ウェッセルマンはアメリカニューヨークで、

当時盛んであったシュルレアリスム運動と出会う。

復活祭の翌日、トム・ウェッセルマンはメトロポリタン美術館を訪れたが、

そこにあったデ・クーニングという作家の絵の前で、

長い時間座り込んでしまったそうだ。

その理由は、デ・クーニングの作品があまりにも素晴らしすぎたから。

のちにトム・ウェッセルマンはこう語る。

 

「デ・クーニングは私にとって最も理想的なアーティストであり、つねづね、彼のようになりたいと思っていました。けれども私は、やがて自分がデ・クーニングではないことを悟り、彼がしたことを否定し、全く反対の事を始めたのです。」

 

トム・ウェッセルマンは抽象表現から決別することとなる。

 

 

トム・ウェッセルマンとマティス

 

Tom Wesselmann-Galleria Plura-1984 Poster

Tom Wesselmann-Galleria Plura-1984 Poster

 

 

抽象表現からの決別を決心したトム・ウェッセルマンは、アンリ・マティスから大きな影響を受ける。

 

「私は彼のおかげで画家になろうと決心しました。マティスのすべてが好きで、特に、その芸術への態度に深い尊敬の念を持っていました。彼から色彩、線、形態、塊、動きなどあらゆる要素を用いて絵を描くことを学びました」

 

そういうのだから、その影響は多大なものだったのだろう。

 

トム・ウェッセルマンと裸婦画

 

 

トム・ウェッセルマンは本当に多くの裸婦画を描いた。

それは、裸婦画が最も「攻撃で積極的」ととらえていたからだそうだ。

あの有名な雑誌プレイボーイが創刊され7,8年ほどったった1960年当時、

まだまだヌードに対して世間の目は冷たかったそうだ。

にもかかわらず、トム・ウェッセルマンは裸婦像をセクシャルに、攻撃的に描いた。

これは、トム・ウェッセルマンの挑戦でもあったそうだ。

 

「ヌードを描くことは、それだけで充分挑戦的な行為でした。絵画をもっと緊張感のあるもの、簡単に折り合うことのできないものにしたかったのです。」

 

アート界の異端児だったのだろう。

ちなみに、最初にヌードを書き始めたのは妻のクレア・シェリーさん。

この方はトム・ウェッセルマンが絵を描いている間、

ずっとトム・ウェッセルマンを誘惑していたらしい…。

 

 

トム・ウェッセルマンの思想

 

 

ワクワクするものを描く。

それがトム・ウェッセルマンが一番大切にしていることらしい。

エロティックな女性の裸も、

攻撃的なタバコの煙も、

艶やかな唇の絵も、

全てワクワクするために描いたそうだ。

トム・ウェッセルマンは絵を描くことに対し、

性的な興奮を少なからず覚えていたそうなので、

実はちょっと危ない人だったのかもしれない。

 

  

小ネタ

トム・ウェッセルマンの幼き頃の夢はスポーツ用品店だったそうだ。

巨大な小川を店内に引き込み、釣りができるスポーツ用品店を作ろうと、

きちんとした構成まで考えていたらしい…。

画家になってくれてよかった…。

 

 

 

ブログランキング参加中!!
クリックお願いいたします。↓↓
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村