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No,35 パチンコで有名な蛭子能収は、天才シュルレアリスム漫画家である

パチンコで有名な蛭子能収は、天才シュルレアリスム漫画家である

 

私は、 

 

蛭子能収

 

という天才に出会えて本当に良かったと思っている。

心からだ。

 

初めて読んだ作品は、やはり有名な「パチンコ」だった。

あの時の衝撃は未だに記憶にある。

 

退屈な漫画だった 

パチンコ 蛭子能収初期漫画傑作選 (角川ebook)

パチンコ 蛭子能収初期漫画傑作選 (角川ebook)

 

 

起承転結はハッキリしておらず、何より「パチンコ」と言うタイトルにもかかわらず、主人公は一度もパチンコを打たずして物語が終わるのである。

 

やられた…。

天才にしてやられた…。

 

私は何やら悔しくなってしまった。

 

それからと言うもの、暇があれば蛭子能収の漫画を読むようになった。

この、「暇があれば」と言うのが、蛭子作品を読む上で大切なのである。

暇を潰すのに相応しい漫画は、蛭子能収以外にない。

 

私が、蛭子能収作品に対する愛を語り始めると、

原稿が何枚あっても足らない。

もう、狂ったように蛭子能収作品が好きなのである。

私の文章では、その魅力をどこまで伝えることができるか疑問であるが、

精一杯頑張ろうと思う。

 

 

基本情報

「蛭子能収」

本名

  • 蛭子能収

生誕

  • 1947年10月21日

出身地

  • 長崎県長崎市
職業
  • 漫画家

ジャンル

  • オルタナティブ・コミック
代表作品
  • パチンコ (1973) ガロ掲載
  • 不確実性の家族 (1979) Jam掲載  …etc.

 

作風

普通の漫画に飽きた人は蛭子能収を読むべきだ。

理由は簡単。

蛭子能収の漫画が普通ではないからである。

まず、起承転結がはっきりとしていない。

 

突然人が死ぬ時もあれば、

突然人が性行為を始める時もある。

突然物語と無関係な人物が現れたと思いきや、

突然物語から去っていく。

突然怒り出す人間がいれば、

突然泣き出す人もいる。

 

蛭子能収の作品は、全てが不条理なのである。

しかし、その破天荒さが蛭子能収作品の真骨頂。

コアなファンが離れない理由である。 

復刻版 私はバカになりたい

復刻版 私はバカになりたい

 

  

蛭子能収作品には常識というものがない。

 

人権なんて物語に存在しないし、

人の命すら軽々しく扱う。

動物愛護精神なんて皆無だし、

子供を子供と思っていない。

 

それ故に、現実世界と懸け離れた世界を漫画で構築できるのである。

 

人はそれをシュールだのオルタナティブだのと言う。

 

そこに感動があるか?

 

ある。

 

断言しよう。

あるのだ。

 

そもそも感動とは、感情が揺り動かされる事である。

蛭子作品を読んだ後、読者は決まってボーっとした頭になる。

泣けるとか、恐怖を感じたとか、怒りを感じるとか、そういった類の感動ではないが、

頭がボーっとすることは紛れも無い事実であり、

頭がボーっとしたということは、潜在的に感情が動かされているのだ。

こんな体験してみたくないか?

 

私はこの感動をこう捉えている。

蛭子能収作品を読んだ後、読者は自分のいるこの世界が、偽物の世界であり、

勿論、蛭子能収世界観も偽物の世界であり、

本物のなんてこの世にはないことに気付かされ、

偽物で世界は成り立っているのだという気持ちになるのだ。

 

「佐々木よ、何をいっているんだ?」

 

なんて言われそうだが、読めばわかる。

本当に素晴らしい世界がそこにあるのだ。

 

それから、蛭子能収は背景画をあまり詳細に描かない。

大雑把に描き、果てしない奥行きを表現する。

さらに、登場人物の多くはやたらに汗をかいており、常に何かに怯えている。

そして絵に動きが乏しい。

これにより、読者は想像力を掻き立てられる。

 

くそ!

 

蛭子能収作品の世界を文章にすることの難しさを今感じている。

 

とにかく読んでほしい。

蛭子能収を読まずして死んでしまったら、

男が女性を知らずに死ぬのと同等の悔恨と言っておこう。 

復活版 地獄に堕ちた教師ども

復活版 地獄に堕ちた教師ども

 

  

蛭子能収という人物

漫画で独立する以前はダスキンの社員であった。

また、漫画家デビューした後、テレビで有名になるまでは常に金に窮していたらしい。

さらに面白いことに、蛭子能収は収益のほとんどをタレント活動に頼っており、

漫画での収入は全体の一割にも満たないのだとか…。

 

伊集院光は

「人間は全員、素っ裸になれば蛭子さんとそれほど大差がない。」

と言っている。

つまり、蛭子能収はすべてを捨てた人間と等しいということなのである。

だとしたら、おかしな人間であることは間違いないだろう。

 

みうらじゅんは子供が生まれたことを蛭子能収に報告したら、

 

「奇形児ですか?」

 

と質問されたそうだ。

また、その時、

 

「子供って頭蓋骨がくっついていないから、親指を入れるとクーっと入るんです。」

 

なんて言ったらしい…。

やばい奴だ。

 

キリがないが、あと一つだけ紹介しておく。

蛭子能収は笑い上戸として知られている。

しかし、特殊な笑い上戸であり、シリアスな場面で笑いが出てしまい、

世間一般に面白いといわれる場面でしらける特性がある。

 

有名な話に、山田花子という漫画家の葬式で、

焼香中に笑いが止まらなくなり、肩が震えだした。

蛭子は、

 

「どうか親族の皆様は泣いていると勘違いしてください。」

 

と祈りながら焼香を続けたそうだ…。

 

蛭子能収はギャンブル好きとしても知られる(ギャンブルを題材にした漫画はメチャクチャ多い)。

「仕事はギャンブルをするためにしている」

と以前豪語していた。

一度、違法賭博で捕まっているのにもかかわらず、

未だに公営ギャンブルはやめられないそうだから、

恐らくギャンブル依存症(病的賭博)なのだろう。

 

IR法案が首尾よくいけば、

いつかカジノで蛭子能収に出会えるかもしれない…。 

こんなオレでも働けた (講談社BIZ)

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蛭子能収とTV

若い人にとって蛭子能収はただのタレントとして評価されているかもしれない。

しかし、テレビに出始めた当初、1980年代半ばは「文化人枠」としてテレビに出ていた。

蛭子能収をテレビに引っ張ったのは柄本明だといわれている。

その後の活躍は皆様の知っている通り。

国内では知らない人がいないほどの売れっ子タレントとなった。

 

また、当時人気だったビートたけしの「スーパージョッキー」という番組で、

熱湯風呂に入る一こまを同級生に

 

「みっともないことばかりするなよ」

 

と言われたそうだが、

心の中で

 

「俺はあれ一回でお前の月収分稼いでいる」

 

と言い返したそうだ。

因みに、テレビでは何もできない阿呆なおじさんというイメージだが、

何をするにも計画的に行動するタイプらしい…。

本当なのか…?

 

蛭子能収のルーツ

ルーツはガロの人気作家であった「つげ義春」であるそうだ。

これを聞いた私は妙に納得した。

というのも、蛭子能収作品には「つげ義春」のエッセンスが随所に感じることができるからである。

ただし、つげ義春はシュールでありながらも情緒豊かな作品を描くが、

蛭子能収は徹頭徹尾シュルレアリスムにこだわった作品を描く。

 

また、つげ義春は背景を詳細にリアルに描くが、

蛭子能収はほぼ描かない。

両者の違いはかなり多いのだが、蛭子能収の作品はつげ義春の影響が垣間見えるのだから不思議だ…。

 

蛭子能収とガロ

ガロというのはオルタナティブ・コミックを中心に掲載していた、超がつくレベルのマニアックな漫画雑誌である。

「青林堂」という小さな出版社が発行していた。

 

ガロに掲載される漫画の多くは、難解でシュールなものが多い。

また、ガロに掲載させるようなタイプの作家を「ガロ系」作家と呼ぶ。

代表的なガロ系作家は

 

つげ義春

白戸三平

水木しげる

みうらじゅん  …など

 

蛭子能収は、つげ義春の作品を読み感銘を受け、

ガロからのデビューを目指していたそうだ。

そして、結果として蛭子はがろからデビューする。

その時の作品があの「パチンコ」であった。

しかし、あまりにマニアックな漫画を掲載し続けていた「青林堂」は常に経営難であり、

蛭子能収にギャラを与えることができなかった…。

その後、一度も蛭子能収は「青林堂」からギャラを受け取っていない。

しかし、蛭子能収はそれでも「ガロ」に掲載されること自体が嬉しいようで、

こうコメントを残している。

 

「あの出版社からは『ガロ』でデビューした時から35年間一度も原稿料もらっていません。でも、いいんです。オレはアングラの世界が好きだし、掲載してもらえるだけで嬉しいんです」

 

やはり天才は考えることも天才なのである。 

蛭子能収コレクション 地獄を見た男?地獄編?

蛭子能収コレクション 地獄を見た男?地獄編?

 

 

 

蛭子能収とミュージシャン

蛭子能収はミュージシャンのジャケットイラストも多く手掛けている。

しかし、そのアーティストの多くはサブカルと言われるアーティストが多く、

以前紹介したノイズミュージック(詳しくはNo,19 魅惑のノイズ(ノイズミュージックの魅力)を参照されたい)の

ザ・ゲロゲリゲゲゲ

パンクミュージックで有名な田口トモロヲひきいる

ばちかぶり

替え歌フォークミュージシャン

嘉門達夫

など、一筋縄ではいかぬ連中ばかりである。

  

小ネタ

上記で書いたように、蛭子能収のネタはキリがない。

では最後に蛭子能収が陪審員制度に対して言ったコメントを紹介する。

 

「行くのがめんどくさいから反対」

 

…。

 

近いうちにつげ義春についてはきっと寄稿しようと思うが、

それはまた別の話…。

 

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