Masasakiblog

アートを愛し、アートに生きよう。。。

No,11 「カリガリ博士」に学ぶ、恐怖とアート。

皆さま、突然だがホラー映画は好きだろうか?

 

「そんなの絶対に見れません!」

 

なんて人も中にはいるかも知れないが、

安心して欲しい。

本日紹介する映画は、一応ホラー映画に分類される映画であるが、

中身はいたってアーティスティックな映画なのだ。

 

「カリガリ博士」

 

この作品名を聞いてピンときた人は、映画フリークである。

なにせ、制作年が1920年と大変古く、その上サイレント映画なのだ。

 

そんな映画を好き好んで鑑賞しようなんて人は、

映画フリークか、私のように奇人変人な人種に違いない。

 

では、私と「カリガリ博士」の出会いを話そう。

 

この映画に出会った時、私は20代半ば…。

既に社会人になっていた。

そして、あの頃の私は、本屋やビデオ屋に通い詰めていた。

今でもそうだが、私は本屋やビデオ屋が大好きである。

スタティックで不変的な毎日に、

良いスパイスを加えてくれる本屋やビデオ屋は、

私にとって最高の癒し空間なのである。

 

ある日、仕事を終えた私は、レンタルビデオ屋でいつもの如く、血眼になってマニアックな良作映画を探していた。

実はマニアックな作品の中から、良作を探すのはなかなか難しい(正確には、私好みの作品を探すのは難しい)。

アタリ作品だと思って見てみると、

時間を無駄に消費しただけなんていうことも珍しくはない。

だが私も、有意義な時間を過ごしたいという願望は、

人並みに持ち合わせている。

よって、借りる映画を選ぶ時の私は、般若のような表情になるのである。

 

何度も、DVDを出したり戻したりしてすること数十回。

店員に変な奴と思われること数回。

今日はめぼしいのが見つからないと、ため息をついたこと数回…。

ふと私の目に個性的な名前の映画が飛び込んできた。

その映画こそ、

「カリガリ博士」

であった。

 

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アメリカでの公開当時のポスター

「カリガリ博士」…。

 

このタイトルを見て、あなたはどう思うだろうか?

私は、即座にあの有名な激安アイスキャンディー「ガリガリ君」を連想した。

 

「なんだこのアイスキャンディーのような名前の映画は…。」

 

DVDの裏表紙を見ると、ホラー映画の起源と紹介されている…。

 

時は2010年代…。

フレディとジェイソンはすでに戦いを終えているし、

プレデターとエイリアンも勝敗が決まっている。

ゾンビは随分と前に徒歩で人を襲う鈍足お化けから、

格闘家よろしく、戦うゾンビまでに進化している。

 

もし本当にこの映画が、この世に封切られた初のホラー映画だとすれば、

たとえその名が激安アイスキャンディーであったとしても見る価値がある。

そう思った私は、迷わず、「カリガリ博士」を手にしてレジに向かったのであった。

 

その後、家に帰り、DVDを再生した私はいい意味で裏切られるのである。

 

「なんだよ、これ、アート作品じゃないか…。」

 

ホラー映画だと思ってみた私の期待は裏切られたが、

上質のアート作品である本作は、私にとても素敵な時間を提供してくれたのである。

では、「カリガリ博士」の情報を下記に記そう。

 

 

基本情報

「カリガリ博士」

公開

  • ドイツ 1920年

監督

  • ローベルト・ヴィーネ

脚本

  • ハンス・ヤノヴィッツ
  • カール・マイヤー
主演
  • ヴェルナー・クラウス(カリガリ博士)
  • コンラート・ファイト(チェザーレ)
  • フリードリッヒ・フェーヘル(フランシス)

上映時間

    71分 

あらすじ

ホラー映画というよりもサスペンス・スリラー映画であるこの作品。

物語は本作品の登場人物の一人、フランシスの回想で進行する。

 

フランシスは過去に、カリガリ博士とチェザーレが引き起こした、恐ろしい殺人事件を目の当たりにしていた。

その事件とは、ドイツのとある町で起こった。

村にカーニバルがやってきたとき、そのカーニバルに紛れて、

「カリガリ博士」

という怪しげな博士が、「チェザーレ」という名の夢遊病者を使った出し物をしていた。

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この気味の悪い顔の男が博士である。

カリガリ博士曰く、チェザーレは23年も箱の中で眠り続けており、

にも拘わらず、どんな質問でも答えるという。

 

容姿も、言っていることも胡散臭いカリガリ博士だが、

そんなチェザーレに、客の中の一人が、いたずらにこう質問をした。

 

「自分はあとどれくらい生きられるのか?」

 

チェザーレはこう答えた。

 

「長くはない。明日の夜明けまでだ。」

 

翌日、チェザーレの予言通りに、その客は命を落とした。

その事実を知ったフランシスはカリガリ博士とチェザーレに疑いの目を向け、

殺人事件の調査を開始する。

フランシスの調査に危険を察したカリガリ博士は、疑いの目を背けるために、

次の殺人を思い立つ。

だが、その犯行がきっかけとなり、チェザーレは命を落とし、

カリガリ博士は追い詰められることとなる。

 

だが、カリガリ博士を追い詰めたフランシスはカリガリ博士の正体と秘密を知ることになるのであった…。

 

ここで話が終わると思った人も多いだろう。

しかし、実はこの映画にはもう一つのどんでん返しが用意されている。

その内容とは…。

 

いや、ここで話すのは野暮というものだ。

是非、皆様にこの名作を一度見てほしい。 

 

 

感想

一言でいうと、この作品は「名作」である。

サイレント映画というものは、表現が制限されていることから、

製作において、相当に難易度が高いのではないかと思われる。

だが、この作品は、文字と映像のみでその制限をぶち破ってしまった…。

  • 字幕
  • 美術セット
  • メイク
  • カメラワーク
  • 演技

どれをとっても、アート作品といえよう。

 

特に私が気に入ったのは、カメラワークである。

「カリガリ博士」のカメラワークの特徴は、アイリスショットと呼ばれる手法にある。

特定の人物に焦点を当て場面を閉じたり開いたりする手法である。

今では何ら珍しくもない手法だが、1920年の作品である。

当時としては革新的なアイデアだったに違いない。

このカメラワークを多用したおかげで、この作品は異様な雰囲気を醸し出す作品となった。

 

さらに、特筆すべき点は、

背景に使われている美術セットだろう。

歪んだ住宅に、歪んだ扉、歪んだ柱…。

全てがダリやピカソといったシュルリズム派の作った造形物のように、

異様な形をしているのである。

作品の大部分が、回想シーンであるという示唆を、視聴者に与える演出としてはわかりやすく、とっつきやすい。

その上、芸術性に富んでいる。

美術セットの素晴らしい作品を挙げろと言われれば、私は迷いなく

「時計仕掛けのオレンジ」

「カリガリ博士」

を挙げるだろう。

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これはもはやアートそのものである。

 

随所に挟まれる字幕も、手書きの文字を主として構成されており、

不気味な雰囲気を演出させる。

 

本当によくできたアート作品だ。

 

小ネタ

この作品は後世の映像作品だけでなく、多くの芸術分野に影響を与えたそうである。

日本のビジュアル系ロックバンド「cali≠gari 」はここから名前を取っている。

また、バットマンのジョーカーのモデルはコンラート・ファイトである。

文中に少し、「時計仕掛けのオレンジ」を紹介したが、

また今度この作品についても寄稿しようと思っている。

が、それはまた別の話…。 

 

 

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